アドレナリン大放出の「すいかまつり」〜手稲北小学校〜
全国で二例目となる「小学校の農業科」を実現した美唄中央小学校。
その取材を続けていると、札幌にも「農業科」を体現するような取り組みをしている学校があるとの情報が入り、先日お邪魔しました。
8月29日(木)晴天、全校児童367名の手稲北小学校です。
玄関に入り出迎えてくれたのは、こちら!
そう。札幌市手稲区は「すいか」の産地として有名で、北小の校区内にはすいか畑が点在しているのです。
そんな地の利を生かし、40年ほど前から開催しているのが「すいかまつり」。
最高学年である6年生が自分たちですいかを育て、それを全学年に振る舞うお祭りです。
今年の6年生は2クラス総勢62名。
地元のすいか農家さんの畑を借りて、今年は5月末に苗植えを行い、雑草取りをしながら、夏休み中から収穫をスタートさせました。
二学期に入り再収穫もし、トータル収量は約350個!
「すいかまつり」では6年生が全て自分達で準備をして、振る舞うのが北小の伝統です。
今年は午前開催とあって、準備は朝8時30分からスタート。
テーブルや新聞紙などの事前準備はもちろん、切るひと、運ぶ人、補助する人など細かく仕事を決め、前半・後半のチーム制で休憩時間も設定する綿密さです。
最初にやってきたお客さんは1年生と2年生。
この日の気温は29度。時折心地良い風が吹き、すいかを食べるには最高のお天気でした。
たらいの周りに集まった1、2年生は、小さな手を真っ赤にしながらすいかをムシャムシャ。。。
1年生「16個目くださ〜い!」
6年生「すっごい食べるね〜!」
1年生「美味しい!」
6年生「良かった〜!」
なんて微笑ましい!
低学年と6年生のこんな何気ないやり取りが、子ども達の心を育み、次なる成長に繋がっていくんだろうなぁと感じた瞬間でした。
佐藤麻美調査では、初回の最高記録は33個!
あの小さな体によくぞ入りました!
続いてのお客さんは3年生と4年生。
予想以上の食べっぷりだった初回では、切って運ぶ作業が若干遅れ気味だったようで、休憩するはずのインターバルは次の準備に充てる6年生。
切り手が足りなくなると、「家庭科室から包丁取ってきます!」と臨機応変に動くあたりは、さすが最高学年です。
たらいの周りに全員集合すると、第二部スタート!
体の大きさと口の大きさは比例し、次のすいかを求める声が続出。。。
ホストはてんてこ舞いです。
競い合うように食べる男子チームは、食べ終わる前から手をあげて、両手にすいかの名手もいました(笑)
第二部の最高記録は、佐藤麻美調べで59個でした!
どこからから「給食もう入ら〜ん!」と一言。
そりゃそうだ(笑)
でも、この日の給食は「野菜カレー」。きっと食べたんだろうなぁwww
朝の準備からここまでで既に2時間半が経過していました。
前半・後半にチーム分けをして休憩時間を設けた6年生でしたが、フォローし合っていると、結局水分補給をして一息つくくらいで、休憩という休憩はほとんどなし。
でも、ひっきりなしに動いている6年生は充実感のあるとってもいい表情で、アドレナリンが大放出されているんだろうなぁと感じました。
ラスト第三部はいよいよ5年生の登場です!
第二部よりも多少落ち着いた雰囲気の中でモリモリ食べる子ども達。
5年生にとっては、来年自分たちが担当する「すいかまつり」。
スタート前の事前準備も見学に訪れ、すいかを食べながら6年生の動きを確認しているような子もいました。
来年はもっと頼もしい背中になっているんでしょうね。
5年生の最高記録は私調べで43個でした!
終了後はさすがにヘトヘトの6年生。
それでも、
「疲れたけど楽しかった!」
「1年生の時からすいかを食べてきて、6年生の大変さがわかったけど、喜んでくれて嬉しかった!」
など、達成感と充実感を体いっぱいに感じているようでした。
ちなみに北小では6年生以外も野菜作りなどに取り組んでいるので、食べた後のすいかは畑の肥やしに。
校内でしっかりと循環です♪
毎年、たらいを囲んですいかを食べるこのお祭りは、子ども達が楽しみにしている北小の一大イベント。
お手伝いに来ていた卒業生は「忘れられない思い出です」と語っていました。
食べ物を育て、面倒を見て、収穫し、それを誰かに食べてもらう。
そこに至るまでの作業やその心持ち、食べてもらった時の反応。
食べたものが体の栄養になる一方で、この活動は心の栄養にもなる。
このような一連の流れを小学生の時期に体感できることは、何にも変えがたいものだと思います。
「食べるものを育てる」ということの大切さと素晴らしさを改めて感じた時間でした。
すぐにでも「農業科」を銘打つことができる北小の「すいかまつり」。
この先もこの伝統を守り続けてほしいと、心から思います。